水槽

水槽の濾過バクテリア

大切な濾過(ろ過)バクテリアのお話です。初心者の方にもわかりやすく水槽のバクテリアを解説しています。水槽の立ち上げを失敗しないために、濾過バクテリアについてご説明いたします。

小さな水槽でも熱帯魚を飼育できるのは、水槽の中に調和を作り出す仕組みが工夫されているからです。このとき、虫眼鏡でも見えないような小さな生き物たちが大切な働きをしてくれます。その生き物こそ濾過バクテリアなのです。

水槽の濾過バクテリアについて

水槽の中では濾過バクテリアが極めて重要な働きをしています。濾過バクテリアは底砂や濾材の中はもちろんのこと、石や流木、水槽のガラス面にいたるまで、ありとあらゆる物の表面に付着しながら殖えていきます。

濾過バクテリアにもいくつかの種類がいて、それぞれが特有の働きをしながら水槽の中に浄化の仕組みを作っています。こうした濾過バクテリアの存在と性質を知ることも、熱帯魚の飼育をより安全なものとするのに役立ちます。

なお、ここでは生物分類表に準じた分け方ではなく、水槽の濾過バクテリアとして活躍する順に分類しています。

従属栄養細菌

濾過バクテリアとして最初に活躍するのは従属栄養細菌です。増殖力旺盛で殖えやすく、どこからともなくすぐにやってきます。

バクテリアの多くが従属栄養細菌ですが、こうしたバクテリアが熱帯魚のフンからアンモニアを作り出します。これが浄化サイクルにおいて最初の段階になります。

独立栄養細菌

独立栄養細菌(化学合成無機力源生物)は極めて特殊な生物で、分類上は真性細菌であっても、人類を含む多細胞生物や他のバクテリア類とはかなり異なった特徴を持つバクテリアです。いずれも殖えるのに時間のかかるバクテリアですが、熱帯魚の飼育においては最も重要な濾過バクテリアと言えます。

とにかく増殖がとてつもなく遅く、1個体が2個体になるのにさえ数日もの時間を要します。このため、初期段階では濾過器の中で従属栄養細菌を増殖させようとするのは現実的ではありません。水槽をセットしたらまずは水面が常に新鮮な空気と触れるようにして大気中のバクテリアを取り込むのが効率的です。

アンモニア酸化菌

土壌菌ニトロソモナスや海・川の菌ニトロソコックスに代表される好気性菌のグループで、アンモニアを亜硝酸塩に変えることのできる特別なバクテリア類です。熱帯魚の飼育においては、まずこの濾過バクテリアを十分に殖やす必要がありますが、その増殖スピードはたいへんゆっくりとしたものです。

亜硝酸塩酸化菌

ニトロバクターやニトロスピラに代表される好気性菌のグループで、亜硝酸塩を硝酸塩に変えることのできる特別なバクテリア類です。アンモニア酸化菌と合わせて硝化菌とも呼ばれます。亜硝酸塩は有毒のため、これを毒性の弱い硝酸塩に変えることのできる亜硝酸塩酸化菌は熱帯魚の飼育においても極めて重要です。

通性嫌気性従属栄養細菌

好気性細菌は酸素を多く含むところで活発に活動し、嫌気性細菌は酸素を苦手としていますが、通性嫌気性従属栄養細菌は好気環境でも嫌気環境でも元気に活動することのできる細菌類です。

通性嫌気性従属栄養細菌を酸素の少ない嫌気環境におくと、亜硝酸塩や硝酸塩をチッ素に還元して気化させ、水槽の中からなくすことができます。水換えによるわずかな浸透圧の変化にも耐えられないデリケートな熱帯魚の飼育繁殖に用いられるほか、河川の浄化においても、たいへん重要な濾過バクテリアのひとつです。

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