ビーシュリンプの飼育に使われるフィルターについての解説です。
フィルターを選ぶポイント
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フィルターについて
ビーシュリンプを飼育していると水槽の中には次第に窒素酸化物が蓄積してきます。窒素酸化物のうち亜硝酸塩は特に毒性が強く、これをいかに自然の河川と同様の仕組みで速やかに毒性を弱めていくかがビーシュリンプの安全な飼育のために重要で、そのために必要となるのがフィルター(濾過器)なのです。
フィルターは水をキレイにしてくれる濾過バクテリアにとって居心地のよい住み家を提供し、より多くの濾過バクテリアの力を借りて水を浄化する仕組みになっています。これを生物濾過と言います。これがビーシュリンプ飼育において、濾過の最たる機能と言えます。
また、水中を漂うゴミなどを目の細かい網などでこし取る物理濾過や、水を循環することによりヒーターで温められた水を水槽のすみずみにまで行き渡らせたり、大気との接触面積を大きくすることで効率的なガス交換(二酸化炭素の放出と酸素の取り込み)を行います。
フィルターの種類
フィルターほど種類によって一長一短なものもありません。エアー式は安価ですが動作音や振動が大きく、モーター式は高価なものであれば静かですが小型水槽には使えないなど、それぞれの特徴をよく理解した上で選択する必要があるでしょう。中にはビーシュリンプに不向きなフィルターもありますので、購入の際にはあらかじめ種類と仕組みを理解しておく必要があります。
外掛け式フィルター
小型水槽に用いられることの多いフィルターです。安価で入手しやすいですが濾過面積が小さく、一ヶ月もすると極端に濾過能力が低下しますので、こまめな濾材の交換など定期的なメンテナンスが重要です。吸水口には専用のスポンジを取り付けられるようになっているものもありますので、できるだけそうした製品を選ぶようにすると、ビーシュリンプが濾過器の中に吸い込まれてしまったり、あるいは自らフィルターの中に入り込んでしまうといった事故も防げるでしょう。
水中フィルター
小型モーターで水を循環するフィルターです。大きさの割には濾過面積が大きく浄化能力も安定しています。本体を水槽の中に入れる必要があるため、小型水槽に入れると、かなり狭くなったように感じてしまう場合があるかもしれません。また、モーター部は多少の熱を発し、特に夏場には暑さに弱いエビにとって生命を脅かすことさえ起こりかねませんので、使用の際には水温の管理だけは確実に行ってあげることが大切です。
上部式フィルター
水槽の上部に載せて使用するフィルターです。上部フィルターを取り付けるには一般的に45センチ以上の水槽が必要ですが、音も静かで濾過能力も高く、安価でメンテナンスも簡単という優れたフィルターです。ただし、基本的に比較的水量のある水槽に向いたフィルターで、吸い込み口も大きいため、ビーシュリンプには不向きと言わざるを得ません。
底面式フィルター
水槽の底に敷き、底砂を通した水をエアーで汲み上げて循環させるフィルターです。底砂を濾材としているため濾過能力は高く、ビーシュリンプの赤ちゃんでも吸い込まれる恐れがないため、特に繁殖には適したフィルターです。ただし水が流れ出てくる吐水口が水中にあると、その中に入り込もうとしますので、水位は少し低めにしておくか、強めのエアーを送るようにします。
底面フィルターは掃除の不便さが最大の欠点です。メンテナンスの際には水槽内の全てを取り出さなくてはならず、必然的に作業量は多くなってしまいます。ただし、ビーシュリンプはあまり水を汚しませんし、日頃からこまめに少量の水換えを行っていれば、それほど頻繁に掃除をしなくても長いあいだ安定した環境を維持できますので、ビーシュリンプにとっては好ましいフィルターのひとつと言えるでしょう。
外部式フィルター
水槽の外部に設置する大型のフィルターで、強力なモーターにより大型水槽に使用しても十分な濾過能力を発揮します。小さな水槽では水流が強くなりすぎるため、大型水槽向きのフィルターと言えます。本体を水槽より低い位置に設置する必要があるため、水槽の配置などはフィルターの置き場所をあらかじめ考慮した上で決めておく必要があるでしょう。
外部式フィルターを小さな水槽に使用しますと、ビーシュリンプにとってはかなり強い水流になりますが、ウィローモスなどのしがみつきやすい水草を多く入れてあげることで、ある程度は早い流れであっても状態良く飼育することは可能です。この高い濾過能力は魅力ですので、可能であれば試してみる価値はあります。ただし、稚エビはことごとく吸い込まれてしまいますので、繁殖には向きません。
スポンジフィルター
エアーポンプで空気を送るタイプのフィルターですが、濾材に特殊なスポンジを使用しているのがポイントです。上手く使えば高い濾過能力が期待できますし、稚エビが吸い込まれる心配もなく、掃除も簡単、水流の強さもエアー量で調整できるなど、ビーシュリンプにとっては最も理想的なフィルターと言えます。